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それって体質?おなかの不調にレインボー療法

それって体質?

おなかの不調にレインボー療法

国立成育医療研究センター 好酸球性消化管疾患研究室 室長 野村伊知郎先生

Rainbow食事療法の力

監修・協力

野村伊知郎先生

野村 伊知郎先生

国立成育医療研究センター 好酸球性消化管疾患研究室 室長

国立成育医療研究センター研究所 好酸球性消化管疾患研究室 室長。2010年以降から現在まで厚生労働省 難治性疾患好酸球性消化管疾患 研究班代表を務める。

好酸球性胃腸炎と食物

「食べること」で苦しむお子さんを前に、あなたは何度、胸が張り裂けそうになったでしょうか。

好酸球性消化管疾患(なかでも特に好酸球性胃腸炎)は、目に見えない「食物による炎症」が胃腸に起きている病気です※。

腹痛や下痢、吐き気、栄養障害が、数年にわたって繰り返され、日常が少しずつ削られていく──それがこの病の正体です。

私たちはいま、「患者さんが何を安全に食べられるか」という問いを、もう一度ゼロから考え直しています。

そしてその答えのひとつが、“レインボー食事療法”です。

好酸球性胃腸炎が重症で、何をしても治らない方、ステロイド内服は副作用があるので使いたくない方にとって、レインボー食事療法は良い治療法と言えます。

※好酸球性胃腸炎は食物以外にも、花粉などの吸入抗原、遺伝子異常などでも起きることがあります。

食物による反応には、大きく分けて「即時型」と「非即時型」がある

ここで、少し専門的な話をさせてください。食物が原因でおきる病気は、大きく2つに分かれます。

食物による反応には、大きく分けて「即時型」と「非即時型」があります。即時型反応はいわゆる食物アレルギーのことで、良く知られていると思います。

表1

好酸球性胃腸炎は、「非即時型」反応の代表です。反応が遅れてくるため、原因食物を突き止めにくく、見過ごされがちです。

その苦しみを抱えてきたのが、まさにあなたとお子さんなのではないでしょうか。

血液をとって、IgE抗体を調べることで、原因となる食物を特定できる即時型の食物アレルギーと違って、好酸球性胃腸炎はIgE抗体では原因の食物を知ることはできません。

細胞性免疫というものによって起きているので、原因を見つけるのが簡単ではないのです。しかし、レインボー食事療法によって分かることが多いです。

レインボー食事療法の効果

成育医療研究センターが開発したレインボー食事療法は、このような非即時型の「見えにくい炎症」に対して、目に見える効果をもたらします。

好酸球性胃腸炎は、患者さんによって、様々な原因食物があります。一人の患者さんで1~4種類の食物が原因となっていることが多いですね。

除去食を始めるときに、例えば3種類除去するとして、乳製品、小麦製品、大豆製品を除去する。その中にお子さんの原因食物があればよいのですが、外れることもあります。

その場合は、大変な思いをして除去をしたのに、症状は治らないのです。そんな時にレインボー食事療法が効果を発揮します。

私たちは、50名の好酸球性胃腸炎の原因食物を調べました。

すると、鶏卵、乳製品、大豆、米、小麦、魚、エビ、鶏肉、豚肉、牛肉、など、本当に多種類の食物でおきていることが分かりました。

これらの食物のうち、数種類に反応するわけです。

しかし、芋類、野菜、果物に反応する患者さんは、50名の中にはいらっしゃいませんでした。なので、芋類、野菜、果物は食べても大丈夫だろうということになりました。

まずは病院の栄養管理部で調理した芋類、野菜、果物をつかった食べ物を食べながら、栄養剤(エレンタールもしくはエレメンタルフォーミュラ)、ω3系の脂質、不足する微量元素を摂取してもらいます。

表1

最近では、多くの子どもたちがおいしいよ、と言いながら(これが一番大切!)食べています。これをレインボー基本食と呼びます。

これで、2か月程度過ごすと、胃腸の炎症はほぼ改善します。

   
図1

伸び悩んでいた身長や体重もキャッチアップします。イライラなどの症状が改善することもあります。

図2

ちなみにレインボー食と名づけた理由ですが、その食品を見た時に彩りが様々で、おいしそうと思ったことと、長雨のような苦しみのあと、虹とともに未来が開けるようにとの祈りを込めています。

このあと、退院して、保護者様にレインボー基本食をつづけていただきながら、一番好きな食物から、追加していきます。

   
図3

ここで問題があります。原因食物を食べ始めてから症状が誘発されるまで、1-2カ月かかるのです。

例えば豚肉を食べたいというとき、豚肉だけを1-2カ月追加して、症状が悪化しないか観察する必要がある。

すなわち、炎症を沈静化させたあとで、ひとつずつ丁寧に食物を戻していくことで、「何が合わないか」「何を食べられるか」を見極めていきます。

多くの患者さんは1~4種類の食物が原因であり、これだけを除去して、そのほかは食べられるのです。

実はもう一つ問題があります。好酸球性胃腸炎が、細胞性免疫によって起きているとお話ししましたが、やっかいなのは食物を加水分解したり、発酵させたりしてできた小さく分解された物質にも反応してしまうことです。

市販の加工食品には、小さく分解された物質が含まれている食品もあるので、当分の間は、保護者様に加工していない、そのままの食材(野菜や果物、肉、魚など)を素材として調理していただきたいのです。

この加水分解物は、多くの調味料に含まれています。レインボー基本食は、7つの調味料だけを使って調理していただきます。

表3

この食事で多くの患者さんが「お腹の痛みがなくなった」「笑顔が戻った」「初めて元気に学校に行けた」と喜んでいただいています。

クローン病にも効果を示すかもしれない

そしてこれは、好酸球性胃腸炎だけの話ではありません。炎症性腸疾患であるクローン病でも、海外では同じような食事法が効果を示し始めています。

私たちは、小児消化器病専門医の先生方と一緒になって、クローン病についてもレインボー食事療法を行いたいと思っています。クローン病は日本に数十万人の患者さんがいらっしゃいます。

食品企業とのコラボ

今後は、レインボー食事療法の助けになる食品を増やしていきたい。そのためには、食品企業の参画が必要になってきます。必要な情報が一目でわかるような仕組み作り構築などで、患者さんの助けとなる社会実装を進めて参りたいと思っています。

最後に

あなたのお子さんを一番よく知っているのは、保護者様、あなたです。

そして、熟練した専門医(まだ多くはないのですが)と一緒にレインボー食事療法を行うことによって、あなた自身がお子さんを治すことができると思います。

好酸球性胃腸炎の診断は、消化管内視鏡検査が必須とされています。食事療法を行う前に、必ずこの病気について詳しい医師にかかり、診断を受ける必要があります。 下記のサイトも是非ご覧ください。


・好酸球性胃腸炎に関する、一般的な知識についてのサイト
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/egid/patient/ege.html

・好酸球性胃腸炎の内視鏡を行ってもらえる病院の一覧
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/egid/patient/hospitals.html#3tab

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