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食物アレルギーを持つ方に読んでほしい、防災の心構え

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いざという時に備えたい

食物アレルギーを持つ方に読んでほしい、防災の心構え

合同会社ソナエルワークス 備え・防災アドバイザー 高荷 智也 氏

防災視点の食物アレルギー対策のポイント

監修・協力

高荷智也

高荷智也 氏

合同会社ソナエルワークス 備え・防災アドバイザー


1982年、静岡県生まれ。「備え・防災は日本のライフスタイル」をテーマに「自分と家族が死なないための防災対策を、体系的に解説するフリーの防災専門家。堅い防災を分かりやすく伝える活動に定評があり、講演・執筆・メディア出演の実績も多い。防災YouTuber、Voicyパーソナリティとしても活動する。著書に「今日から始める家庭の防災計画」他多数。

防災視点の食物アレルギー対策のポイント

誰もがいつでも「被災者」となる可能性のある、災害大国日本。防災は「するかどうか」ではなく、「どのようにするか」と考えるべき対象です。大地震や大雨などによる大規模な自然災害は、老若男女、全ての方を等しく弱者とします。
しかし、日頃から支援を必要とする方にとっては、さらに大きな問題となることが容易に想像できます。
とりわけ、自分や家族が食物アレルギーを持つ場合、災害時の食事の調達が極めて難しくなります。食事は全ての基本であり、避けては通れない課題となるため、事前対策や準備がかかせません。このコラムでは、食物アレルギーを持つ方における防災のポイントについて、詳しく解説をいたします。

災害時における食物の課題・避難所の実態について

災害の影響で停電や断水が生じたり、店舗での買い物が困難となったりする状況において、食物アレルギーを持つ方が気になるのは「食事をどうするか」という問題です。
自宅で生活を継続する場合も、避難所へ身を寄せる場合も、どのような食事を確保できるのか、自分で用意しなければならない物は何なのか、詳しくみてみましょう。

避難所の役割と実態

災害時、避難所へ行けばなんとかなる、誰かが助けてくれると思っている方は多いと思います。ところが、そもそも避難所へ入ることのできる人数は限られており、入れたとしても避難所は宿泊施設ではないため、快適な生活が提供されるわけではありません。
避難所へ行く際には、「衣食住」を持参しなければならないのです。
避難所は、災害などで自宅を失ったり被害を受けたりして、生活ができなくなった方が一時的に身を寄せる場所です。避難所は最寄りの学校や公共施設が指定されますが、ホテルでも宿泊施設でもありませんので、極端なことを言えば「屋根と床以外は持参」することが基本となります。
避難所では水・食料・毛布・トイレなどを備蓄していますが、1日3食の食事を十分に得られるほどの物資はなく、さらに災害の規模が大きく避難者が増えれば物は不足します。寝る場所はあっても寝るための布団はなく、かまどベンチがあっても食材が備蓄されている訳ではない、というのが避難所の状況なのです。
また、避難所などでは「炊き出し」などが行われますが、これは道路の復旧などが進み、外部の支援が開始されてからの対応となります。どの避難所で炊き出しが行われるかを、事前に把握することはできず、その内容も支援者にゆだねられることになります。近年ではアレルギー対応の理解も進んでいますが、これだけに頼ることはできないのが現状です。

避難所が備蓄している食料と持参について

避難所にはどのような食料が備蓄されているのでしょうか。避難所に備蓄される食べ物は、ガイドラインなどで明確な定義がある訳ではなく、避難所を指定する自治体などに選定がゆだねられています。
多くの場合は、アルファ化米などのご飯、パンの缶詰、備蓄クッキーやビスケットなど、主食類が備蓄品として準備されます。
後述しますが、近年ではアレルギー対応備蓄食も増加しており、こうしたものを備蓄品として選択できるようになっています。しかし、避難所の備蓄品を選定する際に、こうした食品を選択するかどうかは自治体にゆだねられており、確実にアレルギー対応の食事が準備されているとは言いがたい状況です。
また、アレルギー対応の食料が備蓄されていたとしても、十分な量であるかは分かりません。さらに災害の規模が大きく被災者が多い場合は、そもそも全員に食料が行き渡らない可能性もあります。アレルギーを持つ方も、そうで無い方も、最低限の食料品は持参しなければならないということが言えるのです。

避難所での生活と、自宅での在宅避難

食物アレルギーを持つ方も、そうで無い方も、避難所の生活は大変です。避難所へ行くことは義務ではありませんので、親戚や知人の家を頼ったり、被災地を出てホテル暮らしをしたりと、そもそも避難所へ行かない選択肢を持つことも重要です。
避難所は「最初の手段」ではなく、「最後の手段」と考えることが重要なのです。
それでも、どうしても避難所へ行かなければならない状況もあり得ます。この場合は、避難所で必要となる「衣食住」を持参する必要があり、食物アレルギーを持つ家族も食べられる物を用意しなければなりません。次の項目では、アレルギー対応備蓄食を紹介しますので、防災リュックなどを作成する際の参考にしてください。
一方、自宅が無事であれば、そもそも避難所へ行く必要はありません。自宅で生活をする「在宅避難」により、停電や断水などライフラインの復旧を待つことになります。この場合は、普段食べているアレルギー対応の食料品を、自宅で調理して食べることになります。これは「日常備蓄」と呼ばれる方法で準備するのがおすすめです。

アレルギー対応の備蓄食について

食物アレルギーを持つ方が避難所へ行く際に、持ち込むことができる備蓄食にはどのようなものがあるのでしょうか。かつての備蓄食は、「災害時だからしょうがない」という考え方で、とにかく食べられればよいという物が多くありました。しかし、近年相次ぐ災害の教訓が反映され、昨今では美味しいもの、機能性のある備蓄食が増えています。
防災リュックなどへ入れることのできる、食物アレルギー対応の備蓄食について、具体的に紹介いたします。

そのまま食べられる「THE・備蓄食」

避難所向けの食べ物には、「調理不要で常温でもそのまま食べられる」ものが向いています。災害直後の食事として便利ですので、防災リュックなどへ入れておくのがオススメです。以下におすすめの商品をご紹介します。

えいようかん(スティック羊羹) - 井村屋

https://www.imuraya.co.jp/goods/yokan/c-eiyo/eiyo/

特定原材料等28品目不使用で、5年備蓄が可能な「ようかん」です。2007年から発売されているロングセラーの備蓄食で、持ち歩いたり防災リュックへ入れたりする備蓄食として広く活用されています。高温でも溶けず、低温でも凍らず、衝撃を与えても崩れない、避難時にもオススメの備蓄食です。

LIFE STOCK(ゼリー飲料) - ワンテーブル

https://lifestock-jelly.jp/line-up/

特定原材料等28品目不使用(一部は特定原材料8品目不使用)、5年備蓄が可能な「ゼリー飲料」です。幼児や介護の必要な方でも、のどに詰まらせずに食べられる備蓄食として重宝します。さらにゼリー飲料であるため、災害時の飲料水を補うこともでき、こちらも防災リュックへ入れるのに適した備蓄食です。

7年保存レトルト米粉クッキー - The Next Dekade

https://www.nextdekade.jp/14986309025343

特定原材料等28品目と貝類不使用で、7年備蓄が可能な「米粉クッキー」です。コンパクトに圧縮されており、防災リュックなどへ入れやすい備蓄食となっています。さらに「The Next Dekade」ブランドの備蓄食は、多くが「-20℃~80℃」の保管試験を行っており、低温や高温になる場所での保管や、自動車へ積む備蓄食としても使用できます。

主食類について(ご飯・パン・麺類)

災害時にも欠かせない主食類は、比較的アレルギー対応されたものが多くあるカテゴリの食品です。特定原材料等28品目不使用の各種ご飯を始め、小麦の代わりに米粉を用いたアレルギー対応の食品なども発売されています。
インターネットなどで「アレルギー対応 アルファ化米」などと検索をすると、多くのメーカーのアルファ化米ご飯を検索することができます。ここでは、特にアレルギー対応の食品に力を入れている、尾西食品の備蓄食を紹介します。

アルファ米ご飯シリーズ

(アルファ米は尾西食品の商標、一般的にはアルファ化米という名称が使われます)

https://www.onisifoods.co.jp/products/list.html#section_gohan

お湯または水を入れるだけで、美味しいご飯を食べられるアルファ米。これを日本で最初に開発・販売を始めたのが尾西食品です。避難所や企業でも尾西のアルファ米が多く備蓄されており、アレルギー対応されているご飯も多くあります。記事執筆時点においても(2025/08/18)、白米、五目ごはん、わかめごはん、きのこごはん、たけのこごはん、山菜おこわ、赤飯、ドライカレー、白がゆ、梅がゆ、塩こんぶがゆ、パエリヤ、などが特定原材料等28品目不使用です。5年備蓄で、防災リュックへ入れる備蓄食としても活用できます。

ライスクッキーシリーズ

https://www.onisifoods.co.jp/products/cookies/plane.html

米粉で作られた5年備蓄のライスクッキーです。特定原材料等28品目不使用で、ココナッツ味といちご味があります。サクサクした歯触りで、食事としても災害時のおやつとしても活用することができます。防災リュックへ入れても良いですが、衝撃には弱いため自宅の備蓄用にしてもよいでしょう。

米粉うどんシリーズ

https://www.onisifoods.co.jp/products/curryudon.html

米粉で作られた麺のうどんで、カレーうどんと山菜うどんがあります。特定原材料等28品目不使用で、5年備蓄が可能です。熱湯を入れて7分で食べられる様になり、フォーク付きで食器も不要です。温かい食事を食べたいという場合に役立つ備蓄食です。

おかず類・副食類について

主食以外にもアレルギー対応されている備蓄食が増えています。ここでは防災リュックへ入れやすい食品を、いくつかご紹介します。

各種レトルト食品
UAA食品(アルファフーズ)

https://www.alpha-foods.net/products_information/uaa_allergy.html

常温でもおいしく食べられる長期保存食を手がける、アルファフーズのUAA食品シリーズには、アレルギー対応備蓄食のシリーズがあります。そのままでも美味しい、温めても美味しいレトルトパックで、いずれも5年備蓄ができる、特定原材料等28品目不使用の備蓄食です。けんちん汁、ホワイトシチュー、赤魚の煮付け、さつま芋のレモン煮、ソフト金時豆、白粥、梅粥、フォー(米めん)など、主食と合わせて食べられるおかずが多くあります。

ライフスープ(インスタントスープ)
ベジタルアドバンス

https://www.vegitaladvance.com/lifesoup

特定原材料等28品目不使用の、粉スープです。ビタミン・ミネラル配合の栄養機能食品で、災害時の栄養補給に役立ちます。優しいコンソメ味で、水でもお湯でも美味しく飲める他、調味料として使うこともできます。5年備蓄でかさばらず、防災リュックにもオススメの備蓄食です。

在宅避難と食材の備蓄・調理について

災害時に自宅が無事であれば、無理に避難所へ行く必要はありません。自宅で生活をする「在宅避難」で、ライフラインの復旧を待つことができます。
在宅避難であれば、自宅にある物を全て活用できるため、避難所での生活よりもはるかに快適な生活を送ることが可能です。自宅が無事ならば在宅避難をぜひ検討してください。
この場合、食物アレルギーを持つ方の食事をどうすべきか、ポイントを解説します。

日常備蓄による食材の確保

在宅避難最大の特徴は、自宅にある物をそのまま使えることです。冷蔵庫や食品棚の中身、お米、カップ麺、買い置きのお菓子、もちろん防災リュックに入れた備蓄食も、全て活用することができます。
この時意識をしていただきたいのが、「日常備蓄」による食材の確保です。
日常備蓄は、「普段食べているものを少し多めに買い、無くなる前に補充する」という備蓄方法です。どうせ食べる物を先に買うだけですので、お金が無駄にならず、災害発生時にはそのまま備蓄食として活用することができます。
普段食べているアレルギー対応の食品を、日常備蓄で少し多めに確保すれば、そのまま生活を継続できるのです。
冷蔵庫や冷凍庫は、停電が発生しても半日~1日程度は中身を維持できます。まず冷蔵、冷凍の食材を食べ、それから常温の食材を食べるようにすると、無駄なく在宅避難生活を送ることができます。日頃からアレルギー対応の食材を多めに確保し、そのまま災害時に使用できるようにしてください。

停電時の調理について

ところが問題があります。停電などが発生すると、キッチンの調理家電が使用できなくなり、食材があっても調理が難しくなります。IHの場合はこんろも使用できません。
そこでおすすめの備蓄品が「カセットガスこんろ」と予備の「カセットガスボンベ」です。
これがあるかどうかで、被災生活の水準が大きく変わる重要アイテムと言えます。
カセットこんろがあれば、普段使用している鍋やフライパンをそのまま使用することができ、簡単な調理が可能となります。もちろん鍋でご飯を炊くことも可能です。さらにお湯を沸かすことができれば、アルファ化米を温かくして食べたり、レトルト食品を湯煎で加熱したりと、食事のグレードが大きく改善されます。
ただし、断水などが生じている場合は調理器具を洗うことができなくなるため、ポリ袋などを使ってご飯を炊いたり、簡易調理をするなど、洗い物を出さない工夫をするとよいでしょう。
普段の食材の活用とカセットガスこんろで、無理をしないアレルギー対応の食事の確保をぜひ行ってください。

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