瀧真奈美先生コラム

食物アレルギーをお持ちの方のカルシウム補給について

食物アレルギー分野管理栄養士 瀧真奈美先生


オンライン栄養相談にご協力いただいている食物アレルギー分野管理栄養士 瀧先生のコラムです。
今回のテーマは、オンライン栄養相談でも相談されることがあるという、特に乳アレルギーをお持ちの方が悩まれる「カルシウム」。
アレルギーをお持ちの方はもちろん、そうでない方にもお役に立てる内容になっていますのでぜひ読んでみてください。

お話を聞いた人


食物アレルギー分野管理栄養士

瀧 真奈美先生

食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士は、根拠に基づいた診断と治療の最前線を学びながら現場を振り返り、リスクマネージメントを考慮した安全な食の提供と栄養教育をめざす専門家であり、指定する研修プログラムを修了し、かつ認定試験に合格した者を公益社団法人日本栄養士会が認定するものです。
※日本栄養士会HPより引用(2021年5月時点認定者総数71名)

【食物アレルギーをお持ちの方のカルシウム補給について】


こんにちは。食物アレルギー分野管理栄養士の瀧です。
日々のお食事作り、本当にお疲れ様です。
皆さんは「カルシウム」を召し上がっていますか?
実は、「カルシウム」はどんな食品にもたっぷり含まれているわけではなく、また身体に吸収されにくい栄養素なのです。
上手に食材を選んで、効果的に、美味しく食べていきたいですよね。

毎日の生活に取り入れていただきたいポイントを3つに絞ってご紹介します。

① カルシウムの吸収には、ビタミンDやビタミンKも必要!

カルシウムを体に吸収するためにはカルシウムを摂取するだけでなく、ビタミンDやビタミンKも必要になります。
ビタミンDを多く含む食材としては、魚(しらす・さけ・いわし・さんま等)、きのこの中でも特に乾燥きのこ(干し椎茸・キクラゲ)、卵、乳製品です。
食材以外にも、日光に当たることで体内でビタミンDが生成されるため、適度な日光浴もおすすめです。
プラス、適度な運動も加えれば、骨形成の促進効果もアップされます。
ビタミンKを多く含む食材は青菜や海藻類、納豆です。
ぜひ、積極的に、日常的に召し上がっていただきたい食材です。

カルシウムを多く含む食品の例



ビタミンDを多く含む食品の例

② 骨は毎日壊されて、作られています!

骨は絶えず吸収(破骨細胞が骨を溶かす)されて、形成(骨芽細胞が新しい骨を作る)を繰り返しています。
日常的にカルシウムを十分に摂取することが、しっかりとした骨形成に役立つことに繋がります。
カルシウムの十分な摂取は、骨形成が盛んな乳幼児期、学童期だけではなく、生涯かけて必要となります。

③ バランスよい食事と、カルシウムたっぷりの食材を心がけましょう♪

カルシウムの吸収には、ビタミンDやビタミンKが必要ですが、他の栄養素も、効率よく吸収するには、いろいろな栄養素が必要となっています。
詳しくはこちらをご覧下さい。
>「栄養バランス」をよくする3つのポイント

カルシウム豊富な「乳製品」は、一番吸収率が高く、含有量も多い食材です。
そのため牛乳アレルギーをお持ちの方は、日常的にしっかり意識していかねば、どうしても不足状態となります。
代替食材を上手に使いながら、毎食に少しでもプラスしていきましょう。
それでも難しい場合は、カルシウムを強化した栄養補助食品の利用もおすすめです。
乳幼児の方は、担当医に相談されて、アレルギー用ミルクの利用もおすすめです。


★のついた食品の、いつもと違う、いろいろなアレンジ方法

★さくらえび

  • ・炒め物や煮物にプラス。
  • ・少し炒めてから、汁物に入れると、うまみと風味アップ。
  • ・細かく砕いて、ふりかけに。(ごまや煮干しも合わせるとよりカルシウム量アップ)

★切り干し大根

  • ・さっと水洗いして、食べやすい大きさに切り、お米と混ぜて炊き、切り干し大根ご飯に。
  • ・戻して、食べやすい大きさに切り、そのままサラダ感覚で。
  • ・戻して、食べやすい大きさに切り、煮物だけでなく炒め物にも。

★高野豆腐

  • ・すりおろして粉状にして、スープに入れて加熱して、とろみつけに。
  • ・すりおろして粉状にして、粉と混ぜて生地にして利用。
  • ・戻して、少し下味をつけ、食べやすい大きさに切り、炒め物や煮物にプラス。
  • ・戻して、少し下味をつけて、食べやすい大きさに切り、衣をつけ、唐揚げ風に。
  • ・戻して、水気を絞り、薄切り、お好みの味付けをして、オーブンでカリッと焼いて、焼き菓子風に。

★乾燥きくらげ

  • ・戻して、さっとゆでて、食べやすい大きさに切り、そのままサラダ風に。



※参考資料 日本人の食事摂取基準(2020年版)より 


※食品表示で、紛らわしいもの

  • 「乳酸カルシウム」は牛乳とは関係がなく、牛乳アレルギーの方も除去は不要です。
  • 「卵殻カルシウム」(焼成)は製造工程で卵の成分がなくなるため鶏卵アレルギーの方は除去不要ですが、「卵殻カルシウム(卵含む)」(未焼成)の場合は、重篤な症状のある方は医師に相談が必要です。



  • 「カルシウム」を効率的に吸収するために押さえたい3つのポイント、いかがでしたか。毎日のお食事作りに、できることから、少しでも取り入れていただければ幸いです。
    今回の内容で、わかりにくい、もう少し知りたい、などございましたら、お気軽に「オンライン栄養相談」をご利用ください。日々のお食事の、小さな悩みや、疑問点、不安など、楽しくお話しをしながら、ご一緒に考えていきたいと思っています。
    皆さまにお会いできますこと、楽しみにしています。

    瀧先生によるオンライン栄養相談

    オンライン栄養相談は、スマートフォンまたはPC上で、食物アレルギー分野管理栄養士に相談ができるサービスです。
    食物アレルギー全般についての不安・離乳食の進め方・初めて食物アレルギーと診断された時の食事や栄養管理・入園・入学時の対応や注意点など様々なご相談を受け付けております。どんな小さなことでも構いません。
    日常不安になっていることやお悩みになっていることがあればお気軽にご相談ください。
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