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「抜く」のではなく、食べられるものを後で「足す」調理の工夫で、あらゆるお客様に対応。 ⾷物アレルギーに対応するイタリア料理店〔il Sole〕

オーナーシェフ篇
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現在、加工食品には食物アレルギーを引き起こす7品目の表示が義務付けられています。しかし外食店には、料理に使用する原材料の表示義務はありません。そのため、食物アレルギー対応は各事業者の自主的な取り組みに委ねられているのが現状です。中には食物アレルギーに対応できないという理由で、お客様を断るケースもあるのです。
そんな状況の中、料理人としての信念と独自の工夫で、あらゆるお客様に対応している料理人がいらっしゃいます。東京・上北沢にあるイタリア料理店〔il Sole(イルソーレ)〕のオーナーシェフ・辻正博さんにお話を伺いました。

  • イタリア料理店[il Sole]
    オーナーシェフ 辻 正博さん
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食物アレルギーやグルテンフリーなど、あらゆるお客様に対応するイタリア料理店。il Sole。オーナーシェフの辻さんに工夫や想いを語っていただきました。

「食べられるものがありません」と言ってお客様を帰す飲食店って、どうなんだろう?

東京・銀座のホテルで修業後、2009年、上北沢に親子カフェ〔il Sole〕をオープンしました。当時、自分の子どもが卵と乳製品の食物アレルギーだったということもありますが、元々は料理人として「当店には食べられるものがありません」と言って、お客様を帰す飲食店は、僕の感覚では「どうなんだろう?」と思っていました。
自分の子どもが食物アレルギーになって、それをますます考えるようになり、食べられないことに対して、自分はどんな料理を作れるのだろうか。それが今の僕の原点になっています。

  • 食物アレルギーでも食べられるものを考えて、好き嫌いと同じように対応すればいい。

    食べられないものがあったとしても、食べられるものを考えて、好き嫌いと同じように対応すればいいと思いました。エビが嫌いと言われたら、わざわざエビを料理に入れないですよね。僕は、それと同じだと思っていて、息子が嫌いなものは卵と乳製品だと考えて、料理を発展させていきました。
    自分の子どものための食物アレルギー対応料理を考えるうちに、「これは食べさせてあげるものがけっこうあるぞ」という手応えを感じて、お店でも実践することにしました。例えば、食物アレルギーの方がサーモンのクリームパスタをオーダーされた時はパスタを米粉めんに、クリームを豆乳に変えて調理しました。

  • ベースはアレルゲンを使わない状態で作って、使えるものを後から足して提供します。

    お店での調理の工夫としては、ベースになるソースのようなものはアレルゲンを使わずに作ることがよくあります。例えば、ジェノベーゼを作るときもチーズを入れないで作っておいて、乳製品が大丈夫なお客様には、後からチーズを足します。正直、今まで出来なかったメニューはありません。
    ニッポンハムさんの食物アレルギー対応商品「みんなの食卓®」も使っています。例えば、ウインナーを使ってナポリタンを作ったり、米粉パンを使ってサンドイッチを作ったり。食感や味わいもさまざまな料理に活かしやすい素材で、包装されているから管理もしやすいです。

  • 卵や牛乳、小麦粉を使わなくてもフレンチトーストやパフェを作れます。

    食物アレルギーをお持ちの方々は、外食でいつも同じようなメニューを食べていると感じているんじゃないでしょうか。低アレルゲンのメニューをよく見かけますが、どこのファミリーレストランに行っても大体、カレーか、ハンバーグ、同じようなメニューです。食物アレルギーをお持ちの方も、もう少しいろいろなメニューを選べると、より外食がしやすくなって、楽しんでいただけると思います。
    ここに並んでいるレンチトーストやパフェ、さらにナポリタンにハンバーガー、すべて特定原材料不使用の食物アレルギー対応メニューです。今は市販の食物アレルギー対応食材も増えてきているので、それらを上手に活用しています。
    卵や牛乳が使えないこと、そこが腕の見せどころです。例えばパフェはニッポンハムさんの「みんなの食卓®米粉のパンケーキ」をスポンジ代わりに使い、ココナッツクリームをアクセントに、フルーツをふんだんに盛り付けました。工夫と思いさえあれば、外食でも美味しい食物アレルギー対応料理は出来ると思いますよ。

  • アルバイトでも実践できる、食物アレルギー対応のシンプルなルールがあります。

    お店にはシンプルなルールを徹底させています。注文時、すべてのお客様に食物アレルギーの有無を確認すること。アレルゲンが分からない食材は絶対に使用しないこと。アレルゲンが残らないよう食器をキレイに洗うこと。シンプルですが、僕やアルバイトを含めて全従業員が守っています。
    食材の管理をきちんとして、食材を把握して、食器をよく洗う。飲食店として、当たり前のことを当たり前にやる。だから他の飲食店でも、食物アレルギー対応は出来ると思っています。

  • 料理人としての思いが一番大事だと考えています。

    飲食店での食物アレルギー対応は、100%の安全は無いので躊躇すると思います。経営側の思いとしては事故を起こしたくない。その一方で料理人としては、自分の料理を食べさせないで帰すということに、やはり疑問符が出ると思います。僕は作り手、つまり料理人としての思いが一番大事だと考えています。今、僕が出来ているのは、やると決めた一人の人間の思いが、それを持ち続けることで、回りの人たちも協力してくれて、食物アレルギー対応をやっていこうという気運に繋がっていったと思います。
    料理人としては現場でリアルにお客様から食物アレルギー対応への要望を受けている。だから応えたい気持ちはある。でも経営者の観点では今は出来ないと、躊躇する。お客様と経営者、その間に立った料理人がお客様側へ一歩を踏み出すことで、自分たちの料理の食材に対しての考え方も変わります。

  • 100点を目指すよりも、自分たちで今、出来ることを少しずつやっていく。

    いきなりすべてのお客様に対応しようとして100点を目指すよりも、自分たちで今、出来ることを少しずつやって、幅と経験値を上げていただけたらいいなと感じています。
    でも、そうは言っていられない現実もあります。これからの社会のことを考えると、まず2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。今以上に外国の方が日本を訪れるようになります。その中でグルテンフリーや、ビーガンやベジタリアンの人たちに、飲食店としてどう対応するのか。もちろん外国の方でも食物アレルギーをお持ちの方はいらっしゃるので対応しなくてはならない。あと宗教で特定の食べ物が禁止されていることもある。
    そういったことを、これから大勢の外国の方を受け入れていく中で、日本にある飲食店が、それぞれ自分たちの技術と知恵を出しながら対応していかなければなりません。食物アレルギー対応は当たり前ですが、グローバルに対応していくことも日本の飲食店にとって、すごく大事になっていくと感じています。

  • 食物アレルギーの子も、そうじゃない子も、同じ食卓を囲める社会へ。

    食物アレルギーの子も、そうじゃない子も、同じ食卓を囲めることを目指しています。料理人としても、食物アレルギーを持った子どもを持つ父親としても目指すべき社会だと思います。
    今、食物アレルギー対応に悩んで、どうしようかと考えている人たちがいるなら、僕は力になります。いろんな食材も出ていて、やり方もいっぱいあると思うので、食物アレルギー対応をする人たちをより多くつくることが僕の仕事だと思っています。

  • 取材日 2017年11月22日

    イタリア料理店〔il Sole Gao〕

    東京都世⽥⾕区上北沢 4-13-14 ⼭辺ビル1F

    https://ilsolegao.jp/

    【営業時間】(ランチ)11:00~15:00/(ディナー)17:30~22:30
    【定休⽇】⽉曜・⽕曜(祝⽇の場合はランチのみ営業)
    【電話】03-6379-6111

    【お知らせ】
    2018年1月4日、親子カフェ〔il Sole〕は、イタリア料理店〔il Sole Gao〕に生まれ変わりました。 引き続き、食物アレルギー対応を行っています。詳しくは、店舗へお問い合わせください。

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