●日常生活の工夫
除去食と代替食
このページではアレルゲン食材ごとの特徴や注意点、代替食材や調理をする際の工夫についてご紹介します。
国立研究開発法人
国立成育医療研究センター
大矢 幸弘先生 監修
1
各食材の特徴と注意点
卵(表示義務がある特定原材料)
- 鶏卵は加熱することで、アレルギーを起こす力が弱まります。しかし、かたゆで卵が食べられても、生卵や半熟卵は食べられるとは限りませんので注意が必要です。また加工品であっても、プリンやカスタードクリームなど十分に加熱されていないものもあります。卵料理や卵を含む加工品の摂取範囲については、アレルギー専門医・指導医に相談しましょう。
- 「卵黄」より「卵白」のタンパク質が原因で多く発症します。
- 鶏卵のタンパク質は水に溶けやすいため、スープやみそ汁などの汁物は、鶏卵を取り除いてもタンパク質がスープに溶け出していますので注意しましょう。
- 一部の医薬品には、卵白のタンパク質から作られる「リゾチーム」という成分を含むものがあります。病院で薬の処方を受ける時やドラッグストアなどで家庭薬の購入時などには、医師や薬剤師に確認しましょう。
食べられないもの
- 鶏卵
-
鶏卵を含む加工食品(一例)
- マヨネーズ
- 洋菓子の一部(クッキー、ケーキ、プリン、アイスクリームなど)
- 練り製品(かまぼこ、はんぺんなど)
- 食肉加工食品の一部(ハムやウィンナー類は、つなぎとして卵白を仕様している場合があります)
- お惣菜の揚げ物など
店舗で調理し、販売する食品の場合は、特定原材料であっても表示義務がありません。また、パッケージの原材料表示に原因食物の表記がなくても、調理過程による混入は考慮されないので、注意が必要です。
卵を含む加工食品の例
- クッキー
- かまぼこなど練り製品
- プリン・ケーキなど洋菓子類
- マヨネーズ
- 食肉加工食品
- 一部の医薬品
除去する必要のないもの
- 卵殻カルシウム
菓子類に使用されていますが、ほとんどたんぱく質を含まないため摂取することができます。
「原材料表示」を良く確認して、加工食品を上手に取り入れましょう。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
鶏卵、鶏卵製品を使わず美味しく食べる:代替食材と調理の工夫
- 卵白で固める代わりにゼラチンや寒天、デンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)、米粉を使ってみましょう。
-
揚げ物の衣
- デンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)、米粉、小麦粉などを水でといて衣をつくってみましょう。
やまいもやさといもをすりおろして混ぜることで衣がふんわり仕上がります。
-
ひき肉料理のつなぎ
- デンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)
- すりおろしたじゃがいもやれんこん
- 水切りしてつぶした豆腐
- みじん切りにした野菜など
-
ホットケーキなど
- 重曹やベーキングパウダー、つぶしたバナナを使用するとふっくら仕上がります。
- 食感を柔らかくするには、牛乳やバター、豆乳を多めに加えましょう。
-
マヨネーズ
- 卵を使用しないマヨネーズタイプの調味料が市販されています。原材料を確認して利用しましょう。
牛乳(表示義務がある特定原材料)
- 加熱や発酵処理によるアレルゲン性は、ほとんど変わりません。
- 牛乳・乳製品をとらないことで、カルシウムが不足しやすくなります。小魚など他食品でカルシウムを積極的に補いましょう。
- 牛以外の動物の乳(ヤギ乳、めん羊乳)は表示対象外ですが、牛乳と交差反応*1を起こすことが多いので、注意が必要です。
- 牛乳成分を含む医薬品がありますので、病院で薬の処方を受ける時やドラッグストアなどで家庭薬の購入時などには、医師や薬剤師に確認しましょう。
- 乳製品に関する加工食品の表示は複雑ですので、正しく理解しましょう。
*1 交差反応:原因食物(花粉)のたんぱく質(アレルゲン)と構造が似たたんぱく質をもつ食物に対して、アレルギー反応をおこすこと。
食べられないもの
- 牛乳
-
乳製品
-
乳製品を含む加工食品(一例)
-
乳を示す食品表記(表示)例
- ホエイ、カゼイン、脱脂粉乳、乳糖(牛乳アレルギーの方の多くは摂取できますが、専門医に相談してください。)
乳を含む加工食品の例
- チーズ
- ヨーグルト
- バター
- ケーキ
- チョコレート
- シチューのルウ
- 一部の医薬品
除去する必要のないもの
紛らわしい表示例
- 牛乳
-
「乳」という文字があっても、乳成分ではないもの
- 乳化剤(卵黄、大豆、牛脂などから作られている)
- 乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム
-
「バター」という文字を使用していても、乳成分ではないもの
「原材料表示」を良く確認して、加工食品を上手に取り入れましょう。
牛乳アレルギー用ミルクについて
牛乳アレルギー用ミルクによる代替が可能です。
乳製品と食べられる範囲について
牛乳アレルギーの原因となるたんぱく質は、乳製品によって含まれる量が異なります。例えば、同じ乳製品であっても、チーズには豊富に含まれますが、バターは脂質が多く、たんぱく質が少なくなっています。栄養摂取の面からも、専門医に相談しながら、「食べられる範囲」(食品の種類や量)を把握することが大切です。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
乳、乳製品を使わず美味しく食べる:代替食材と調理の工夫
手作り洋菓子の材料
- 豆乳や豆乳ホイップ
(豆乳製品には、カルシウムの他、骨の形成に欠かせないビタミンDを添加した製品もあります)
- ココナッツミルク
- アレルギー用ミルク
- 果物のピューレ
シチュー、グラタン
- 米粉やデンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)でとろみをつけることができます。また、すりおろしたり、やわらかく煮崩したジャガイモやカボチャをシチューやポタージュに利用することもできます。乳成分が入っていないアレルギー対応マーガリンと米粉でルウを作ることが可能です。アレルギー対応のルウも市販されていますので、原材料を確認して利用しましょう。
小麦(表示義務がある特定原材料)
- 小麦が含まれている種類のしょうゆや味噌は、製造過程でタンパク質が分解されるため、基本的に利用できます。
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー*1を起こす頻度の高い原因食物です。
*1 食物依存性運動誘発アナフィラキシー:食物や運動単独では問題なく、原因食物を摂取した後に運動して初めて重篤な症状が出現するタイプです。
食べられないもの
-
小麦
- 小麦粉(薄力粉、中力粉、強力粉、デュラムセモリナ小麦など)
-
小麦製品
- パン、パン粉、うどん、麩、スパゲティ・マカロニなどのパスタ
- 餃子の皮、など
-
小麦を含む加工食品(一例)
小麦を含む加工食品の例
- うどん
- カレーのルウ
- パスタ
- 冷凍食品・チルドお惣菜
- パン
- カップ麺・カップスープ類
- クッキー・菓子類
除去する必要のないもの
- しょうゆ、味噌、穀物酢、麦茶
基本的に除去の必要はありません。
「原材料表示」を良く確認して、加工食品を上手に取り入れましょう。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
小麦を使わず美味しく食べる:代替食材と調理の工夫
-
パン、ケーキなどの菓子類
- 米の粉(ごはんと同じうるち米から作られる米粉、上新粉、もち米から作られる白玉粉)
米の粉にデンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)を混ぜて使うと食感が軽くサックリと仕上がります。
- 雑穀粉(きび、あわ、ひえ、トウモロコシなどの粉)
-
うどん、パスタなどの麺類
- 米の粉の麺(米粉麺、フォー、ビーフンなど)
米粉麺は乾麺や冷凍麺などバリエーションが増えていますので、お好みで使い分けが出来ます。米粉麺やフォーは加熱すると食感が柔らかくなるので、離乳食にも利用出来ます。
- 雑穀麺(あわ麺、きび麺、ひえ麺、ホワイトソルガム麺など)
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餃子、しゅうまいなど
- 生春巻きの皮(ライスペーパー)、米粉で作られた餃子の皮
-
ルウ
- 米粉やデンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)でとろみをつけることができます。また、アレルギー対応のルウも市販されていますので、原材料を確認して利用しましょう。
-
揚げ物の衣
- 米粉パンのパン粉
衣に卵が使えない場合は、デンプン(片栗粉やタピオカ粉、コーンスターチ)を水で溶くか、アレルギー対応のマヨネーズを材料に薄く塗るなどして代用出来ます。
そば(表示義務がある特定原材料)
- そばアレルギーの頻度は高くありませんが症状は重篤な場合が多く、微量で誘発される傾向がありますので注意が必要です。
- 飲食店では、うどんとそばを同じ大釜(同じお湯)で茹でる場合がほとんどですので、ゆで汁を介したコンタミネーション(混入)に注意が必要です。また、空中に飛散したそば粉末を吸入することで症状が起こることもあります。飲食店のメニューには、表示の義務はありませんので気を付けましょう。
食べられないもの
「原材料表示」を良く確認して、加工食品を上手に取り入れましょう。
食品以外での注意点
- そば殻のまくら
そば殻だけまたは、そば殻を混ぜた枕などがあります。宿泊を伴う外出の場合は、宿泊先に事前に確認しましょう。
- そば打ち体験や実演販売
そばを使用したそば打ち体験や実演販売を行っている周囲には、そば粉が空気中に舞っている恐れがありますので、注意しましょう。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
落花生(表示義務がある特定原材料)
- 加熱するとアレルゲン性が増加する傾向があります。特に高温で処理を行うローストピーナッツは注意が必要です。
- 症状が重篤な人が多い傾向にあります。また、胃酸にも強く反応を起こす性質を保ったまま腸まで運ばれるため、微量でも注意が必要です。
- 落花生の殻にもアレルゲン性があります。
注意が必要な加工食品(一例)
- スナック菓子類
- カレーのルウ
- 市販のドレッシング
- 市販のサラダやサンドイッチ
- カップラーメン
加工食品にうまみやコクを加える隠し味として落花生やピーナッツオイルが使われることがあります。特に菓子や調味料は表示の確認をしましょう。
食べられない物
- ピーナッツバター、ピーナッツクリーム
- ピーナッツクリームを使った菓子パンなど
- バターピーナッツ
- ピーナッツが入ったチョコレートやクッキー、せんべいなど菓子類
- ピーナッツオイル
食品以外での注意点
- ピーナッツオイルを含むローションなどの化粧品
皮膚や目、鼻などの粘膜からの吸収による発症が報告されています。
除去する必要のないもの
- クルミ、カシューナッツなどの樹木ナッツ類は、落花生とは原因となるタンパク質が異なりますので、すべての種を一律に除去する必要はありません。
「原材料表示」を良く確認して、加工食品を上手に取り入れましょう。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
えび・かに(表示義務がある特定原材料)
- 生食や加熱調理したものを食べた時の症状誘発には、個人差があります。アレルギー専門医・指導医に相談しましょう。
- えびとかには、アレルギーの原因となるタンパク質が似ているため、えびとかにの両方で症状を起こすことが多くあります。
- えびやかにで作ったスープや出汁も注意が必要な場合があります。
- いかやたこなどの軟体類、貝類には交差抗原性*1がありますが、一律に避ける必要はありません。
- えびやかにのアレルギーと診断され、日常の生活で気になる症状がみられた場合には、主治医に相談しましょう。
- 幼児期に発症し成長とともに耐性を獲得することは少なく、成人でもっとも多い原因アレルゲンです。
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー*2を起こす頻度の高い原因食物です。
*1交差抗原性:異なる食物でも原因タンパク質の構造が似ている場合、原因食物以外でも症状が誘発されること。交差抗原性が認められる食物で症状が誘発されるかどうかは個人差がありますので、アレルギー専門医・指導医に相談しましょう。
*2食物依存性運動誘発アナフィラキシー:食物や運動単独では問題なく、原因食物を摂取した後に運動して初めて重篤な症状が出現するタイプです。
食べられないもの
- えび、かに
お刺身および加熱したものすべて
-
えび、かにを含む加工食品(一例)
「原材料表示」を良く確認して、加工食品を上手に取り入れましょう。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ずアレルギー専門医・指導医に相談しながら行ってください。
大豆(表示推奨品)
- 卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かにのような表示義務のある特定原材料でありません。(表示推奨品目です)大豆・大豆加工品、あるいは大豆由来*1の添加物などを使用している加工食品でも、原材料に大豆が記載されない場合があります。判断が難しい場合は、製造メーカーに確認しましょう。
- しょうゆや味噌は、製造過程でアレルゲン性が低下しますので、多くの方が摂取出来ます。専アレルギー専門医・指導医に相談して、最小限の除去にとどめましょう。
*1大豆由来:[確認が必要な表示例]を参照してください。
食べられないもの
-
大豆
- 黄大豆、黒大豆(黒豆)、青大豆(枝豆)
- 豆もやし(大豆):野菜として扱われている、大豆の芽
-
大豆加工食品
- 豆乳
- 豆腐、厚揚げ、油揚げ
- ゆば、がんも、おから
- 納豆
- きなこ
- 大豆由来の添加物などを使用した食品(菓子、ドレッシングなど)
- かに風味かまぼこ
主カレーやシチューのルウ
大豆を使用しているものと使用していない商品がありますので、原材料を確認し、判断が難しい場合は製造メーカーに確認しましょう。原料は魚のすり身ですが、かにエキスを使用している場合があります。
大豆を含む加工食品の例
- カップ麺・カップスープ類
- チョコレート
- カレー・シチューのルウ
- 冷凍食品・チルドお惣菜
- 豆腐・厚揚げ・納豆など
確認が必要な表示例
-
乳化剤、レシチン、タンパク加水分解物 など
大豆由来の種類がありますので注意が必要です。これらの添加物が使用されていて原材料にその由来が記載されていない場合は、製造メーカーに確認しましょう。
除去する必要がないもの
-
しょうゆ、味噌、大豆油
基本的に除去の必要はありません。
-
他豆類
小豆、いんげん豆、えんどう豆などは基本的に避ける必要はありません。
-
もやし
市場に出回っている「もやし」の90%は、緑豆のもやしですので、基本的に除去の必要はありません。
ただし、韓国料理などに良く使われる「豆もやし」は大豆の芽ですので、除去が必要です。
大豆、大豆製品を使わず美味しく食べる:代替食材と調理の工夫
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調味料
- 雑穀や米で作られたしょう油、味噌など
(雑穀:ひえ、あわ、きび、キヌア、小豆など)
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
野菜果物類(表示推奨品を含む)
- 一部の野菜や果物は、花粉との交差抗原性*1が確認されています。花粉症をもつ人の中で、複数の野菜や果物に対して、食べた時に口の周りや口の中が腫れたり、喉などに痛みやかゆみ、イガイガ感などの症状が現れることがあります。口周囲に限られた症状をもつタイプは、口腔アレルギー症候群と呼ばれています。体調不良や花粉飛散時期に大量摂取することで、全身症状に至る場合がまれにありますので、注意が必要です。
- ジャムやコンポートなど、加熱することで摂取可能になる事が多くあります。
【花粉との交差抗原性*1が報告されている果物・野菜などの組み合わせ】
花粉 |
野菜・果物など |
カバノキ科 |
シラカバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ |
バラ科(リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、モモ、スモモ、アンズ、アーモンド)、セリ科(セロリ、ニンジン)、ナス科(ポテト)、マタタビ科(キウイ)、カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、ウルシ科(マンゴー)、シシトウガラシ など |
ヒノキ科 |
スギ |
ナス科(トマト) |
イネ科 |
ティモシーグラス(オオアワガエリ)、ライグラス(ホソムギ) |
ウリ科(メロン、スイカ)、ナス科(トマト、ポテト)、マタタビ科(キウイ)、ミカン科(オレンジ)、豆科(ピーナッツ) など |
キク科 |
ヨモギ |
セリ科(セロリ、ニンジン)、ウルシ科(マンゴー)、スパイス など |
ブタクサ |
ウリ科(メロン、スイカ、カンタロープ、ズッキーニ、キュウリ)、バショウ科(バナナ) など |
スズカケノキ科 |
プラタナス |
カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、バラ科(リンゴ)、レタス、トウモロコシ、豆科(ピーナッツ、ヒヨコ豆) |
出典:「独立行政法人 環境再生保全機構」よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック2014
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花粉と果物の他に、天然ゴム製品の原料となるゴムの木の樹液「ラテックス」と、交差抗原性*1がある果物があります。(ラテックス・フルーツ症候群)
天然ゴム製品例:輪ゴム、風船、ゴム手袋、医療器具に使われているゴム製品など
交差反応がある果物:アボカド、バナナ、キウイフルーツ、メロン、パイナップル、モモ、トマトなど
*1交差抗原性:食物や花粉などに含まれるタンパク質の構造が似ている場合、原因食物以外でも症状が誘発されること。交差抗原性が認められる食物で症状が誘発されるかどうかは個人差がありますので、専門医に相談しましょう。
紛らわしい反応の例
原因野菜、果物を避けて美味しく食べる:代替食材と調理の工夫
すべての野菜や果物の除去が必要な場合はまれです。また原因となる野菜や果物であっても、電子レンジ加熱やゆで、煮るなどの調理を施すか、ジャムやソース、缶詰などの加工品であれば食べられることがあります。
種類が豊富な野菜や果物の中から選択して適切に摂取しましょう。
症状の有無には個人差がありますので、除去や摂取、食べられる範囲の確認に関しては、自己判断せず、必ず専門医に相談しながら行ってください。
その他
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米
米アレルギーの場合、ごはんのかわりにパン、めん、あわ、きびなどがあります。また、アレルゲン含有たんぱくを95%カットしたAカット米があります。なお、米は米、玄米、もち米、白玉粉、米加工品(ビーフン、玄米茶、米こうじ、米みそ、みりん、清酒、餅菓子、せんべいなど)に含まれています。
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油脂
油脂は1日のめやす量を使用しましょう。油脂は菓子や加工品に多く含有されており、過剰になりやすい傾向があります。脂質を構成する脂肪酸バランスのよい油脂であるしそ油、えごま油は酸化しやすく高価であるのに対して、菜種油は手頃な価格で、加熱調理にも安定した性質をもつため料理に幅広く用いることができます。
ピーナツアレルギーでは、ピーナツバター、チョコレート等の菓子、ルウ、調味料に使用されているため、必ず原材料表示の確認をしましょう。加工食品を購入する際には、原材料チェックとともに、コンタミネーション(工場の製造ラインが共通であることによるアレルゲン食材が混入すること。)がないか、アレルゲン食材が別室での製造ラインであるか製造元に確認することが必要です。
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主なアレルゲン除去食品※粉ミルク
アレルギー用ミルクはアレルギーの症状に合ったミルクを選ぶことが大切です。
ミルクのたんぱく質を完全にアミノ酸まで分解したミルクはアレルギーが重症な場合に用います。一般的なミルクアレルギー対応として、カゼインを分解したミルク、カゼインと乳清を分解したミルクなどがあります。これらのアレルギー用ミルクはお料理やお菓子にも利用できます。
※アレルゲン除去食品とは消費者庁(平成21年8月31日までは厚生労働省)が許可する特別用途食品の一種で、食物アレルギー患者の方にご利用頂けるよう卵等の特定の食物アレルゲンを除去した食品のことです。
監修・協力
大矢 幸弘先生
国立成育医療研究センター アレルギーセンター シニアフェロー
名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学分野特任教授
藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科客員教授
国立名古屋病院小児科、国立小児病院アレルギー科などを経て、2002年から国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科医長、2015年に国立研究開発法人への改組を経て2018年から国立成育医療研究センターアレルギーセンター長、2024年から同シニアフェロー、名古屋市立大学環境労働衛生学特任教授、藤田医科大学客員教授。アレルギー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、消化管アレルギー)のガイドライン作成に関わっています。
食物アレルギー初心者向け、まず押さえておきたい基礎情報