●食物アレルギーについて
アレルギートピックス

このページでは、食物アレルギーだけでなく、アレルギーに関するさまざまなトピックをご紹介します。

国立研究開発法人
 国立成育医療研究センター
 大矢 幸弘先生 監修

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仮性アレルゲン

食物を食べたときにアレルギーの原因物質ではないにもかかわらず、あたかも食物アレルギーと同じような症状を示すことがあります。その原因として考えられるものに「仮性アレルゲン」があります。「仮性アレルゲン」とはどのようなものなのでしょうか。

食物アレルギーなどで見られるアレルギー反応では、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が働いていますが、食物の中にはこれらに似た物質を有するものがあり、その食物を食べたときにアレルギー類似の反応を引き起こすことがあります。この物質を「仮性アレルゲン」といいます。仮性アレルゲンとして、以下が知られています。

物質名 含まれる物質
ヒスタミン ほうれんそう、トマト、なす、とうもろこし、さば など
セロトニン トマト、バナナ、パイナップル、キウイフルーツ など
アセチルコリン トマト、なす、たけのこ、やまいも、さといも など
サリチル酸化合物 トマト、きゅうり、じゃがいも、イチゴ、りんご、メロン など

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食物アレルギーとお薬の関係

私たちが病気になったときにお世話になるお薬はさまざまな成分で作られています。 塩化リゾチームは、炎症をやわらげたり痰や膿を溶かして排出しやすくする作用があるため「かぜ薬」に配合されることがありますが、「卵白」から作られるため卵にアレルギーがある場合は注意が必要です。

また、おなかの調子を整える作用をもつ乳酸菌を使った薬の中には、薬を製造する過程で「脱脂粉乳」を使用しているものもあり、脱脂粉乳に含まれる「カゼイン」がアレルギー症状を引き起こす場合があります。下痢止めとして使用されているタンニン酸アルブミンにも「カゼイン」が含まれており牛乳にアレルギーがある場合は注意が必要です。

お薬は体調の悪いときに使うものです。そのようなときには普段よりも強いアレルギー症状が出ることもあります。お薬は使用してはいけない病気等がきちんと決められているので、お医者様や薬剤師さんにアレルギーについて伝え、相談するようにしましょう。

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インフルエンザ

2学期が始まり、インフルエンザの集団感染が起こらないようさまざまな対策がとられていますが、インフルエンザ予防の基本は「流行する前にワクチン接種をすること」とされています。インフルエンザのワクチンは「発育鶏卵(卵)」を使って製造されるため、卵の成分がわずかに残る可能性があります。卵などにアレルギーがあってもほとんどの方はワクチン接種をすることが可能ですが、非常に強い卵アレルギーがある場合は、予防接種の前にアナフィラキシーショックの経験の有無などについてもお医者様に伝え、相談するようにしましょう。

インフルエンザ

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ラテックスアレルギー

「ラテックス」は天然ゴムの原料となるゴムの木の樹液をさします。樹液に含まれるたんぱく質が天然ゴム製品に残ってアレルギー反応につながることが知られており、「ラテックスアレルギー」と呼ばれています。

症状としては接触じんましんなどがあり、天然ゴムでできたゴム手袋を使用する医療従事者の方などに多く見られるようです。また、天然ゴムを使用しているおもちゃ・家事用手袋などもあるため、身近に起こるアレルギーの一つとなっています。 ラテックスアレルギーをお持ちの方は、果物や野菜(バナナ、キウイ、クリなど)に対しても高い割合でアレルギー反応(口腔アレルギー症候群)を示すことが知られており、ラテックス・フルーツ症候群(latex-fruit syndrome;LFS)と呼ばれています。 これは、ラテックスアレルギーの原因となるたんぱく質と口腔アレルギー症候群の原因となる食物(アレルゲン)が似ているため、「交差反応」という反応を介して起こっています。

ラテックスアレルギー

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花粉症

代表的なアレルギーのひとつ「花粉症」。春になると心がウキウキするものですが、多くの花粉症の方々にとっては憂鬱な季節かもしれません。 しかし、花粉症は「春」にだけ起こるものではないことをご存知ですか。

花粉症はその名の通り、「花粉」が原因となって起こるアレルギーです。日本では冬の一時期を除くと、ほぼ1年中花粉が飛んでいるため、春にはスギやヒノキ、夏にはイネ科の植物、秋にはブタクサなどが原因となる花粉症が知られています。また、北海道や沖縄にはスギがほとんど存在しないためにスギ花粉症がなかったり、北海道ではシラカバ花粉症多かったりと地域によって特性があります。

また、花粉が多く飛ぶ条件も知られており
 1.晴れて、気温が高い日
 2.空気が乾燥して、風が強い日
 3.雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いたあと

などが挙げられています。マスクやめがね(ゴーグル)、花粉が付着しにくい素材(綿やポリエステルなどの化学繊維など)の服を着用する、帰宅時に玄関先で十分に服をはたくなど、花粉に接しない、持ち込まないなどの対策をし、憂鬱な季節を乗り切りましょう。

花粉症

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ハウスダスト

食物アレルギーをお持ちの方々の中には「ハウスダスト」でお困りの方もいらっしゃいます。「ハウスダスト」とはどのようなものなのでしょうか。

「ハウスダスト」とは室内に存在する細かい塵のことで、ダニの死骸やフン、花粉、カビ、人のフケなど様々なものが混ざっています。また、アレルギーの原因となるアレルゲンのひとつとしても知られており、お医者様で診断していただけます。
ハウスダストを構成する「ダニ」は高温多湿を好み、エアコン等の空調設備が整った機密性の高い住居では季節を問わず活動が活性化してしまいます。近年そのような住居が増加したことでダニが年間を通じて生息するようになり、死骸・フンが増え続け、ハウスダストによるアレルギーが増加しています。

ハウスダストを減らすためには「定期的な掃除」が重要です(1週間に2回程度と言われています)。これにより単にハウスダストを減らすだけでなく、ハウスダストの原因「ダニ」のえさとなってしまう人のフケや食べ物くずなども減らすことができます。また、ダニが好むふとんやソファー、ぬいぐるみなどは水洗いや天日干し、掃除機かけなどを組み合わせ、ダニの死骸やフンを除去したり、死滅させたりすることが重要です。 清潔で清掃が行き届いた部屋にも、ハウスダストは必ず存在しています。定期的な掃除、そして換気による空気の入れ替えを心がけましょう。

ハウスダスト

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口腔アレルギー症候群

「口腔アレルギー症候群」とは、どのようなものなのでしょうか。

果物や野菜、木の実などを食べ、これらの食物が直接唇や口の中、のどに接することにより、口が腫れたり、ヒリヒリする、かゆくなるなどの症状が起こります。多くの場合これらの症状は食べた直後(5分以内)から起こり、口や唇、のどの症状で終わることが多いのですが、まれに全身的な症状に至ることもあるため注意が必要です。

原因となる果物として、バナナ、メロン、キウイ、リンゴ、モモなどが知られています。また、花粉症やラテックスアレルギーに合併することも多く、花粉症の原因となるシラカバ花粉とリンゴ・ナシの関係が有名です。

なお、果物や野菜の加熱された加工品や市販ジュースでは症状を起こさない場合があります。
※ラテックスとはラテックスとはゴムの木の樹液のことで、天然ゴムの原料となります。ゴム風船やゴム手袋等に使用されています。

口腔アレルギー症候群

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食物依存性運動誘発アナフィラキシー

注目されている食物アレルギーとして「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」がありますが、どのようなものなのでしょうか。

多くの場合、原因となる食物を摂取して2時間以内に一定量の運動(昼休みの遊び、体育や部活動など患者によってさまざま)をすることによりアナフィラキシー症状を起こします。

運動によって腸での消化や吸収に変化が起き、アレルゲン性を残したタンパク質が吸収されてしまって起きると考えられています。

原因食物としては小麦、甲殻類が多く、このような症状を経験する頻度は中学生で6000人に1人程度とまれです。しかし、発症した場合には、じんましんからはじまり、高頻度で呼吸困難やショック症状のような重篤な症状に至るので注意が必要です。
原因食物の摂取と運動の組み合わせで発症するため、食べただけ、運動しただけでは症状は起きません。何度も同じ症状を繰り返しながら、この疾患であると診断されていない例もみられます。

※上記アナフィラキシーを誘発しないよう、運動前4時間以内は原因食物の摂取を避け、食べた場合は以後4時間の運動を避ける必要があります(確実に症状を起こさない間隔ということで4時間とされています)。また、睡眠不足や非ステロイド系抗炎症薬を服用したときなど体調の悪いときにも原因食物の摂取を避けた方が安全です。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー

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参考リンク集

監修・協力

大矢幸弘先生

大矢 幸弘先生

国立成育医療研究センター アレルギーセンター シニアフェロー​

名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学分野特任教授​

藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科客員教授​

国立名古屋病院小児科、国立小児病院アレルギー科などを経て、2002年から国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科医長、2015年に国立研究開発法人への改組を経て2018年から国立成育医療研究センターアレルギーセンター長、2024年から同シニアフェロー、名古屋市立大学環境労働衛生学特任教授、藤田医科大学客員教授。アレルギー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、消化管アレルギー)のガイドライン作成に関わっています。​

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