●日常生活の工夫
入園・入学時の手引き

入園や入学時には保育園や学校などにお子さんの食物アレルギーについて、詳細を伝える必要があります。必要な手続きや、施設ごとの対応例をご紹介します。

国立研究開発法人
 国立成育医療研究センター
 大矢 幸弘先生 監修

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入園・入学時の手引き

食物アレルギーの好発年齢である乳幼児期の保育園・幼稚園および多くの学童と過ごす学校での集団生活では、給食時の対応をどのように行うかが最も切実な問題となります。

食物アレルギー児の受け入れと安全な給食の提供ができるように情報提供(保育園におけるアレルギー疾患生活管理指導表、学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)、診断書、指示書)を医療機関から出してもらうことが大切です。園・学校での給食対応が困難な場合は、弁当持参を選択します。

また、内服薬や自己注射薬の取り扱い、アレルギー症状が起こったときの対応も話し合っておきます。

強いアレルギーをもっている場合は、アレルゲン食品と接触したり、吸い込んだりしてアレルギー症状が出現することがあります。牛乳パックを閉じるときの牛乳の飛散、豆まきでのナッツ類の粉を吸い込んだり、誤食したりすることがないように注意してもらいます

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入園・入学にあたって必要な手続き・対応

【保育園】

保育園での食物アレルギーへの基本的な対応は、国が定めた「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に沿って行われているので、ぜひチェックしてみてください。

保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年度改訂版)
(PDFファイル:6.5MB)

 また、保育園に入園した際、食物アレルギー対応に関する説明があり、「生活管理指導表」が配布されます。この「生活管理指導表」は、医師と保護者、保育園と情報共有できる書類となるため、かかりつけ医に必要事項を記載してもらい、入園先に提出する必要があります。
「生活管理指導表」は各自治体で多少異なる場合もありますが、基本的な「生活管理指導表」は下記となります。

【幼稚園・小学校】

幼稚園、小学校では、「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン(公益財団法人日本学校保健会)」に沿って行われています。

学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン《令和元年度改定》(公益財団法人日本学校保健会)
(PDFファイル:19.4MB)

基本的に対応の流れは保育園と同じとなり、幼稚園、小学校は「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」をもとに保護者と面談し、対応を決定します。

参考:新版 食物アレルギーの栄養指導 食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017準拠

書類の書式や名称が異なる場合もあります。配布されない場合は、保健所や幼稚園、学校に問い合わせましょう。

 ご紹介した通り、保育所、幼稚園、学校によって対応が異なる場合があるため、どのような対応や管理を行っているのかを事前に収集し、納得した上で入園・入学先を決める必要があります。入園、入学の際には事前に保育園、幼稚園、学校と面談して対応を決めていきましょう。

 例えば、提供される給食の形式や、除去の程度はどのくらいの対応になるのか、給食に利用される食材の原材料の確認や調理場での管理、提供される前の最終確認、誤食が発生したときの対応なども、保育園、幼稚園、学校側に確認が必要です。

 また、「生活管理指導表」や「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を通して、医師と保護者と保育園、幼稚園、学校で実際の食物アレルギー対応に関する面談や情報共有をしっかりと連携することが大切です。

監修・協力

大矢幸弘先生

大矢 幸弘先生

国立成育医療研究センター
アレルギーセンター長

国立名古屋病院小児科、国立小児病院アレルギー科などを経て、2002年から国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科医長、2015年に国立研究開発法人への改組を経て現在に至ります。小児アレルギー疾患(気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、消化管アレルギー)のガイドライン作成に委員として関わっています。

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