食物アレルギーと向き合う人々
食物アレルギー管理栄養士
瀧先生インタビュー
今回は、Table for All 食物アレルギーケアにてオンライン栄養相談にご協力いただいている食物アレルギー管理栄養士の瀧真奈美先生のインタビューをご紹介します。
瀧 真奈美先生
食物アレルギー管理栄養士
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ご家庭のキッチンはそんなに広くないこともあり、気をつけていただきたいのはアレルギー物質の混入(コンタミネーション)です。まずは、アレルギーをお持ちのお子さまの食材を先に調理して、その後に他の皆さまで食べる物を作っていただき、先に作った物は避難させておくようにするのが一番安全だと思います。
加熱すれば大丈夫だと誤解されている方も多いと思いますが、食材によっては加熱すると余計にアレルギー反応が強く出る食材もあるので加熱がすべてではありません。やはり除去するのが大切なポイントです。食物経口負荷試験されているのであれば、先生が定めた量を必ず守るということをお願いします。
※食物経口負荷試験=アレルギーが確定しているか疑われている食品を分割して摂取させ、症状の有無を確認する検査
食材で選ぶのが間違いないですが、加工された食品がやはり一番難しいと思います。
日常的に皆さま実施されているかと思いますが、必ずパッケージの裏面を見てアレルギー物質が入っているかどうかという原材料の確認をしていただきたいと思います。
メーカーさんもより良いものをということで、以前は使っていなかった原材料が商品のリニューアルで入ってしまうこともある。これは入っていないので大丈夫と思い、ずっと使い続ける方もいますが、ある日突然症状が出てしまったということもあります。面倒ではありますが、こまめに表示を確認していただくのがいいと思います。
お惣菜屋さんとか、ファミリーレストランなどの外食店では、そのもの自体には含まれていなくても、横で原因物質を含んだものを作っていて、それが例えば粉だったら空気中に漂うとか、水滴などが飛んでしまって(混入してしまう)ということがありえます。表示が難しく、国でもそのようなものに対し表示の義務は与えていませんので、気をつけていただきたいと思います。特に微量でもアナフィラキシーを起こしてしまう重度の方は、やはりご自宅での調理が一番安全だと思います。
小麦粉の代わりは、代表的なところでは米粉や片栗粉、くず粉です。ホワイトソルガム(イネ科タカキビの一種)、キビなど穀類は他にもたくさんあるので、結構代替えがきくと思います。
卵は難しいと思いますが、鮮やかな黄色がとても魅力的なところですので、野菜のカボチャやパプリカ、香辛料で言うとターメリックのような色素を上手に使われるといいと思います。
乳アレルギーの方は豆乳が一番おすすめです。
最近は企業努力もあり、日本ハムも代表格なのですが、小麦を使っていない色々な加工品が売られたりもしています。昔と比べれば今は食材が選びやすく、身近なところにあると思います。
ある程度年齢があがると、自分が食べてはいけない物を把握できるようになると思いますが、幼児の場合だと、お友達が食べているので、お友達も良かれと思って「○○ちゃんあげるよ」と、本当に無邪気な心で渡してしまって、それを食べて、遊びの中での誤食ということもあります。
アレルギーということで特別視するものではない、とはいつも思っています。アレルギーを持っている子が特別なわけではなく、みんなそれぞれいろいろなことがあって、アレルギーというのも一つの個性かなと思うので、あまり特別視はしなくてもいいとは思います。ただ、命にかかわるというところがとても大変なことだと思うので、お子さまが小さければ小さいほど、親御さんから周りの方にしっかり周知することが大切です。なんとなく、うちの子が特別に思われるからあまり言いたくないという親御さんもおられるのですが、『それはうちの子の個性なんです』と明るく周りに話していただき、食べる時は声をかけていただけるように、周知するのが大事だと思います。悪気があって渡す人は誰もいないと思うので、よく説明して周りの方々の理解を得ることが大事なポイントかと思います。
ご相談で多いのが、やはり乳のアレルギーをお持ちで、カルシウムの補給をとても気にされている方が多いなと思いました。牛乳の代替えは豆乳ではあるのですが、牛乳と豆乳はたんぱく質の量は同じであっても、カルシウムの量は1/5~1/6で豆乳はちょっと弱いので、他の食材から摂るというところでカルシウムの多い食材、野菜とか大豆製品とか魚介類などを摂ることを繰り返しおすすめしています。 成長、発育盛りのお子さまは、やはりカルシウムはとても大事だと思います。小麦と卵の代替えは結構ありますが、乳製品がだめな方がカルシウムを補給するというのは、やはりかなり意識していただかないと摂り切れないので、そこが気をつけてもらいたいところだし、お問い合わせも多いところです。
本当に毎日毎日365日、朝・昼・晩・おやつと、もう一日に何回も何回もやってくるこの食という場面に、神経を張り詰めて、気を遣ってご苦労されている保護者の皆さまには本当に頭が下がります。料理だけではなくゴミの始末もそうです。例えば牛乳アレルギーのあるお子さまとないお子さまがいて、牛乳アレルギーがないお子さまが飲んだ牛乳のコップを洗ったつもりでも、牛乳が少し残ってしまっていて、そのコップで牛乳アレルギーのある子が豆乳を飲んで、わずかな牛乳が混ざってしまって症状が出るということもある。日々、料理だけではなく片付け・掃除、家事全般、保護者として守るために必死で頑張っておられると思いますが、保護者自身の方もしっかりと健康管理に気をつけていただきたいと思います。自分が元気じゃないと人のことに手をかけられないし、優しくなれないと思うので、もちろんお子様のケアも大事ですが、保護者の皆さまもご自身の健康管理にぜひ気をつけていただきたいと思います。大変だと思いますが、自分の体も大事に思ってほしいと思います。
すばらしいと思います。市場的には結構狭いかなと思うんですね。やはり企業としては作って販売できてこそだと思うのですが、この狭い範囲であっても確実に必要性があるというところで、消費者の声が25年前に届いて、その声をきっかけにたくさんの商品を世に送り出していただいている。この前、私もパスタと米粉パンを注文させていただいたのですが、今までの商品もそうなのですが、クオリティが高くて、ここまでの味に近づけるためにどれだけ企業努力をされたのだろうと、じんときながらカルボナーラ(商品名:クリームパスタ)をいただきました。すごいです。なかなかあそこまでの商品は・・・。私も米粉で調理したりするんですけど、どうしてもモチっとした感じになってしまいます。あれを生パスタ的な感じでとても上手に作られていて。私もそういった素晴らしい企業に、小さな力ですが少しでも関わらせていただいて、お役に立てるということは光栄に思っております。
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