食物アレルギーと向き合う人々
みんなの「食べたい」をつくる、
マトイル
お誕生日や記念日などの特別な日には、食物アレルギーがあっても美味しいお食事やケーキを囲んで家族みんなでお祝いしたいですよね。そんな時におすすめしたいサービスがマトイルです。
マトイルは、食物アレルギーを持たれる方へ、オーダーメイドでみんなの「食べたい」をかなえるごちそうキットをお届けするサービスです。お誕生日や記念日などのご家庭のイベントをとびきり楽しんでいただくためのちょっと贅沢なごちそうをお届けしてくれます。
今回は、マトイルの代表である谷さんとアドバイザーの今村さんにお話を伺いました。
matoil代表
谷さん
matoil
今村さん
――マトイルのサービスは食物アレルギーを持つお子様とそのご家族に向けた本当にパーソナルの新しいサービスだと思いました。
どのような思いでマトイルという事業を立ち上げようと思ったのですか?
谷さん:子どものころから食物アレルギーと付き合ってきた私は、おいしいものが大好きです。でも普段から外食で誤食のリスクを感じることがあり、外食での食事体験をもっと良くしたい、という思いがありました。同じような思いを持っている方のために何か新しいサービスができないかと思ったのが始まりです。
色々考える過程で、外食に関わる方々にお話を聞かせていただいたのですが、その中で食物アレルギー対応の大変さを知り、またこの大変さの先には、たくさんの喜ぶ顔があることも知りました。
食物アレルギーがあっても食事の機会や料理の時間を楽しめるものにしたい。
食物アレルギーがあるからこそ出会える料理や食体験がきっとあるはずで、それをみんなから羨ましがられてしまうものにしたい。その先には食物アレルギーに関係なく、誰もが楽しめる魅力的な世界が広がっているかもしれない、と感じマトイルをはじめました。
――マトイルメンバーとの出会いはどのようなものだったのですか?
谷さん:NPO法人アレルギーっこパパの会の今村さんには、食物アレルギーに関する事業を立ち上げたいと思い立った時に、調査データなど、現状を詳しく聞かせていただきたく、メールを送りました。
今村さん:谷さんのメールを読んだ時の印象は、「この人、めちゃくちゃ調べて、めちゃくちゃ考えているな」というのと「芯と覚悟があるな」でした。当事者だからこそ感じていることが素直に言葉に表れている感じがあり、力強さも感じすぐに返事をさせてもらいました。
谷さん:今村さんと話したことで、自分が食物アレルギーを持つ当事者の立場でしか考えられていなかったことに気づくことができました。それがその後マトイルの立ち上げにおいて、とても大きかったです。
――他のマトイルメンバーとの出会いは?
谷さん:今村さんにお会いした時に辻シェフもご紹介をいただきました。
そこでもまた新しい気づきがたくさんありました。私は私のアレルゲンだけを気を付けていればいいのですが、お店やシェフのみなさんが相手にするのは全アレルゲンなわけです。そのすべてに神経を使い、代わりになるメニューを用意したり、代替食品を使って料理をしたり。そもそも間違ってお客様に出さないようにしないといけないわけです。現場の抱える課題を知って、これ以上表面だけを見てあれこれ考えていても意味ないな、と思いました。
――想像すると本当にとてつもなく責任の大きいお仕事ですね・・・。
谷さん:はい。それから辻シェフのいるレストランに通う日々が始まりました。そこで食物アレルギーのある方が日々お店に訪れる様子を見て、大変さの先にあるものを見てきて、料理の持つ可能性を肌で感じることができました。それが今のマトイルの原点になっていると思います。
――マトイルにはパティシエの方もいらっしゃるんですよね。
谷さん:はい。お誕生日などホールケーキが登場する日のごはんを考えていた時に、辻さんが1本、電話をかけたことが、パティシエの安達さんと一緒にお仕事を始めるきっかけでした。
安達さんは、卵、乳、小麦、を持ち込まない工房でケーキを作られているパティシエです。安達さんのケーキにはデコレーションのホイップがきれいに並んでいて、その丁寧なお仕事が印象的でした。
色々とお話を聞かせていただく中でとても印象的だったのは、ケーキ自体は通販で買うことができるのに、購入前に一度、お店に訪れる人が多い、というお話でした。それだけ、どういう人がどうやって作っているのか、心配だったり、不安だったりを普段から抱えているのだと思います。
私がお店にお邪魔したときも、そんな親子連れを目にして、作っている人と話せたり、作っている場所に訪れることができる、というのは安心感につながるんだな、ということを感じました。
アレルギー対応は料理の知識や経験だけはなく、職人さんとしての思いによって成り立っているんだということが、私の中での大きな学びでした。
――現在のサービスはどのような背景で開発されたのでしょうか?
谷さん:もともとは、外食先や旅行先などでの誤食を防ぐサービスを考えていたのですが、ごちそうキットをお届けするという方向に舵を切ったのは、本当に喜んでほしい人たちに直接何かを届けたいと思ったからです。
ごちそうキットを実際に形にするまで、たくさんのモニターの方に協力をいただきながら、試行錯誤を重ねてきました。最初のころ、「とびっきりのごちそうにしよう!」と張りきってメニューを考えていたのですが、見慣れない料理や食べ慣れない味に、子どもたちの箸がなかなか進まない、という問題にぶつかったこともあります。
華やかさとおいしさを両立させることや、子どもも大人も楽しめる食卓をつくることがマトイルにとっての最初のチャレンジでした。
―なるほど、ごちそうは人それぞれで、「食べたい」と思ってもらうことも、それを食べて「おいしい」と感じてもらうこともすごく難しいことなんですね。
どのようにしてそのハードルを乗り越えたのでしょうか?
谷さん:最初のころは、何のアレルギーがあるか聞いているだけだったのですが、次第にご家族と直接お話しながら、アレルギーのことに限らず、好き嫌いや食べてみたいものなどについても詳しく聞かせてもらうようになりました。
今でも、ヒアリングではご両親の希望だけでなく、お子さんにも「何を食べてみたい?」と聞かせてもらうことがあります。
でも、お子さんたちはそもそも食べたことがないものも多く、なかなか思い浮かばなかったり、食べ慣れたものを答えるので、記念日らしいメニューにはたどり着きません。そこで、「普段どんなものを食べているか」「似たものでお子さんが好きな味のものはあるか」など、ヒアリングの内容を変えていきました。
その結果、例えば、洋食を食べさせてあげたいけれど普段はあまりパスタを食べないお子さんが、「しょうゆベースのラーメンは好き」「レモンが好き」といったお話から、「あさり出汁の和風レモンパスタ」をご提案するなど、シェフのアレンジが光るメニューが生まれました。
お子さんが食べてくれるか不安、という親御さんとお会いしていく中で、少量をお送りしてお子さんの反応を見ていただく「ひとくちトライアル」という試みも始めました。
ヒアリング風景
少量のトライアル
―本当にお子様・ご家族それぞれに細かな対応をしているんですね。実際の反応はいかがでしたか?
谷さん:ヒアリングの方法を変えていくことで、提案メニューがお子さんの「食べたい」の的に当たるようになりました。
普段はお肉を食べない娘さんが大きなハンバーグを完食する姿をみて、お母さんお父さんがびっくりしたこともあります。
いつもと違うメニューを、安心して思い切って試すことができるのもマトイルの特徴です。
――では、そのごちそうキットについて詳しく教えていただけますでしょうか。
谷さん:マトイルの「anniversary meal kit」は食物アレルギーや嗜好に合わせてご家族ごとにメニューをご提案し、お料理やケーキをご自宅にお届けするサービスです。
冷菜/温菜/パスタ/メイン/デザートのフルコースになっていて、完全オーダーメイドなのでお客様だけのメニューをつくることができます。憧れていたケーキやデザート、普段おうちではなかなかつくれないレストランのような料理、家族みんなが大好きな味など、それぞれのご家族に合わせてシェフがメニューを提案していきます。
マトイルのお客さまには、1品目だけアレルギーがある方もいれば、複数お持ちの方もいますし、28品目以外のアレルギーがある方もいらっしゃいます。ご家族みなさまバラバラでも大丈夫です。
せっかくのお祝いだから、準備の時間からワクワクしてほしい。お客様が楽しい、嬉しいと思うものを作りたい。だから、どんな些細なことでも構いません。ヒアリングの際は、不安に思うことも含めてなんでもお聞かせいただければと思います。
そして決まったメニューは、簡単調理で完成するミールキットにしてご自宅にお届けします。準備を楽にしたい方には簡単に仕上がるものを。シェフの料理を作ってみたい方や、お子さんと一緒に作りたい方には、ケーキの組み立てやデコレーション、パスタの成型など、シェフ体験をしていただけるものをご用意します。
大人が思っているよりずっと、子どもたちは料理をすることに興味があります。そして、自分がつくったごはんは特別なものになる。きっとそれはお母さんお父さんにとっても同じだと思っています。お子さんが料理に興味ありそうだな、と思われたら、ぜひ一緒に作って、食べる前の時間もお楽しみいただきたいなと思っています。
関連する動画
マトイル -matoil- のご紹介
――それでは最後にこれからのマトイルのことを教えてください。
谷さん:マトイルは、食物アレルギーのある方が不安や負担、不便を感じるシーンをなくしていきたいと思っています。
食物アレルギーはひとりひとり違うから、みなさんからいろいろ教えていた だきながら、マトイルも進化していきたいと思っています。あなたが「食べてみたい、作ってみたい」と思うものは、他の方にとっても「そうそう、それが欲しかった!」となるかもしれません。日々の生活の中でふと感じたことを、気軽にマトイルに伝えていただけるようにしていきたいと思っています。SNSでは、そんなマトイルの日常やイベントのこと、試作中のお料理などについても発信していますので、ぜひのぞいてみてください。これからの展開にご期待いただければと思います。
――本日はたくさんの想いを教えてくださりありがとうございました。マトイルのこれからの展開も楽しみにしています。
食物アレルギーの方に寄り添い、食を楽しめる特別な体験を届けてくれる、本当に素敵なサービスです。お子様の誕生日や記念日などにぜひマトイルをご利用してみてはいかがでしょうか。
関連リンク
◎公式WEBサイト:https://www.matoil.jp/
◎公式オンラインショップ:https://online.matoil.jp/
◎公式Instagram:https://www.instagram.com/matoil_insta/
食物アレルギー初心者向け、まず押さえておきたい基礎情報